矯正治療を検討する方にとってどのくらいの期間がかかるのかは気になるポイントの一つです。
特にマウスピース矯正は数年かかると耳にすることも多く、不安に感じる方もいるでしょう。
実際の治療期間は歯並びの状態や治療範囲によって大きく変わります。
ここでは、マウスピース矯正にかかる平均的な期間や、部分矯正と全顎矯正の違い、症例の重さによる目安を詳しく解説します。
目次
■部分矯正と全顎矯正で異なる期間
◎部分矯正の場合
前歯の軽いガタつきなど、限られた範囲を整える部分矯正であれば、平均的な治療期間は半年〜1年程度です。
軽度の症例では数ヵ月で治療が完了することもあり、比較的短期間で歯並びを整えることができます。
仕事や学校などでできるだけ早く見た目を改善したいという方には適した選択肢です。
※症例によっては部分矯正ではなく、
全顎矯正が適応になる場合もあります。
◎全顎矯正の場合
上下の歯を全体的に動かし、噛み合わせまで改善する全顎矯正では、平均1年半〜3年ほどかかります。
特に奥歯を含めてしっかり噛み合わせを整える場合は長期間が必要です。
軽度であれば2年程度で終わることもありますが、顎のズレや抜歯を伴う症例では期間が延びることもあります。
※症例によっては3年以上かかるケースもあります。
■治療期間に影響する要素
◎マウスピースの装着時間を守れるか
マウスピース矯正では、1日20時間〜22時間の装着が基本とされています。
これは、歯にかかる力を一定に維持することで、計画通りに歯を移動させるために欠かせない条件です。
外している時間が長いと、歯は元の位置に戻ろうとする後戻りの力が働き、予定よりも進行が遅れてしまいます。
食事や歯みがきの際に外すのは問題ありませんが、その後に装着を忘れてしまうと、それだけで数日〜数週間の遅れにつながることもあります。
◎マウスピースの交換スケジュール
通常は1週間〜2週間ごとにアライナーを交換しますが、予定通りに進められないと歯の動きが遅れます。
自己判断で装着をしない、交換を遅らせると、数ヵ月単位で治療期間が延びることもあります。
◎歯や顎の状態
歯の移動スピードには個人差があり、歯根の長さや顎の骨の硬さといった生体的要因も大きく関わっています。
一般的に若年層の方は骨が柔らかいため歯がスムーズに動きやすく、治療がやや短く済む傾向にあります。
一方、年齢が上がると骨が硬くなり、歯の移動に時間がかかるため、同じ治療計画でも治療期間が長くなるケースがあります。
また、歯周病などで骨の状態が悪い場合も歯の動きが制限され、矯正に時間を要することがあります。
◎追加のマウスピースや治療の有無
途中で歯の動きに誤差が生じた場合には追加でマウスピースを作製する場合もあります。
これにより治療期間が数ヵ月延びることもあるため、精密検査や経過観察の通院は怠らないようにすることが大切です。
■保定期間も含めて考える
◎保定とは
矯正治療で歯を動かした後は、「これでマウスピースから解放される!」わけではありません。
歯は、動かした直後は周囲の骨や歯肉が安定していないため、保定と呼ばれる期間が必ず必要です。歯は何もしなければ元の位置に戻ろうとしてしまうため、リテーナーと呼ばれる装置を装着して、歯を新しい位置に定着させます。
一般的には1年〜2年程度が必要といわれています。
最初は矯正期間と同じく1日20~22時間装着することもありますが、徐々に夜間のみの使用に切り替わっていきます。
【歯並びの状態によっては時間がかかることもある】
マウスピース矯正の治療期間は、部分矯正であれば半年〜1年、全顎矯正であれば1年半〜3年ほどが目安です。
軽度か重度か、抜歯の有無、患者さん自身の装着時間の管理などによっても大きく変わります。
さらに、治療が終わった後の保定期間も含めると、実際には数年間にわたって矯正に取り組むことになります。
大切なのはできるだけ早く終わらせたいと焦るのではなく、自分の歯並びに合った現実的な期間を理解し、計画的に治療を進めることです。
気になる方は、歯科医院で精密検査を受け、個々の症例に応じた期間の目安を確認してみてください。